診療案内
保険診療
保険診療のご案内
形成外科・皮膚科・小児外科の保険診療
地域医療を大切に考え、美容医療とともに、機能的な問題の解決手段(生活の質の向上)として形成外科・皮膚科の保険診療を充実させていきたいと考えております。 何よりも安全を最優先に、「患者様第一主義」の医療を徹底して参りますので、何なりとご要望をお伝え下さいませ。
疾患、症状等によって、保険適応での診療が可能となっております。
※保険証をご持参下さい。 ※治療方法によって、保険適応外になる場合がありますので、まずはお気軽にご相談ください。
疾患、症状ごとの保険診療
1. ほくろ・イボ・・・綺麗にホクロを除去
ほくろやイボには様々な種類があり、性状、部位、大きさなどにより治療方法が異なります。 当院では『切除術』や『電気焼灼』により、そのほとんどの治療が可能です。 なお、きれいに取りたいという場合には『炭酸ガスレーザー』によって治療する場合もあります。
□ほくろ(黒子、色素細胞性母斑)
ホクロの治療においては、取り残しや再発を最小限に防ぐために、個々のホクロのタイプに合わせて治療方法を変える必要があります。当院では、それぞれのホクロのタイプや大きさや部位に合わせて、炭酸ガスレーザー、電気焼灼、切除術を使い分けて治療します。
※ホクロと思われるものの中には、悪性黒色腫(ホクロの癌)、基底細胞癌といった悪性腫瘍が隠れている場合があります。当院では治療前に形成外科専門医(皮膚腫瘍外科指導専門医)の診察を受けて頂き、その後しかるべき治療を受けて頂いております。
□顔や首のイボ(脂漏性角化症・軟性線維腫)
脂漏性角化症(老人性イボ) 顔や首、手の甲といった露出部位に多発する粟粒~米粒大の茶~黒色のイボで紫外線等による皮膚の老化で起こります。「老人性疣贅」「老人性いぼ」とも呼ばれますが、老人だけでなく20~30代でもみられます。しみが盛り上がってできることが多いです。治療法としては、切除、電気焼灼、炭酸ガスレーザー、冷凍凝固などがあります。
軟性線維腫 「アクロコルドン」「スキンタッグ」とも呼ばれます。首などにたくさんできる、1から3mmくらいのやわらかいできものです。一種の加齢変化です。治療法としては、最も簡単なのはハサミで切ることです。一瞬で終わるので通常麻酔はしません。その他の治療法としては、炭酸ガスレーザー、冷凍凝固などがあります。
※顔のイボ、首のイボと思われるものの中には、有棘細胞癌、基底細胞癌といった悪性腫瘍が隠れている場合があります。当院では治療前に形成外科専門医の診察を受けて頂き、その後しかるべき治療を受けて頂いております。
□ほくろ・イボの治療方法
切除法 局所麻酔の注射をした後、切り取り、糸で縫合する方法です。約1週間で抜糸となります。
くりぬき焼灼(電気焼灼)法 メスで切り取って電気で焼く方法です。こちらも局所麻酔下に行います。肉が盛り上がって新しい皮膚が出来るまで3~4週間かかります。その間は軟膏を塗り、テープや絆創膏などを貼ります。
炭酸ガスレーザー 組織を蒸散する作用のあるレーザーです。他の治療に比べて出血が少なく、電気メスに比べても周りの正常な組織に対する影響が少ないので、必要な部分だけ削ることができます。くりぬきと似ていますが、キズが盛り上がるまでの期間はやや短く、キズあとも目立たない傾向があります。局所麻酔の注射をしてから、レーザーを照射します。施術後は1~3週間くらい、軟膏を塗りテープを貼る処置をします。この施術では切除法や電気焼灼と比べ再発率がやや高くなります。再発した場合、もう一度レーザーを当てるなどの処置が必要です。手間よりも傷跡のきれいさを追求する美容目的の治療です。
※ホクロ治療は保険がきく場合がありますので、ぜひ一度ご相談下さい。 ※保険診療(3割負担)の場合の自己負担額は8,000円~20,000円位です。 (ホクロの大きさと数、部位により異なります。) ※当クリニックでは美容外科として、より美しい術後の仕上がりを考慮したイボ治療を行うことも可能です。
2. 皮膚・皮下腫瘍(良性腫瘍)
皮膚のできもの、粉瘤腫(アテローム)、稗粒腫、汗管腫、脂肪腫など
皮下にしこり(腫瘤)が触れ、大きくなってきたり、赤く腫れあがったりしていませんか? 急に大きくなったり、感染している場合には、早期の治療が必要です。そのまま放置しておくと、大きくなったり、醜状を呈したりすることがあります。できものが、小さければ簡単な処置や小手術で完治します。皮膚や皮下にしこりを見つけた場合には、治療する、しない、にかかわらず、早めに一度診察を受けられることをお勧め致します。 日本形成外科学会専門医(皮膚腫瘍外科指導専門医)が診療致します。
粉瘤腫(アテローム) 新陳代謝によって表皮から剥がれ落ちる垢などの老廃物が、皮膚内部(真皮)に溜まることによってできる良性の嚢胞性病変(皮下腫瘍)です。感染を起こして腫れることがあります。 放置すると感染症を引き起こすことがあるため、局所麻酔を行い袋ごと切除する手術を行うのが一般的です。
粉瘤腫(アテローム) | 感染性粉瘤腫(感染性アテローム) |
稗粒腫 皮膚の表面付近にできる直径1~2mmの毛穴の奥にある毛包(もうほう)や皮脂をつくる腺の未発達なものに角質がたまって生じます。顔面にしばしば発生し、白色の小さな粒のように見えます。 局所麻酔下に注射針の先や炭酸ガスレーザーなどで皮膚を小さく切開して、内容物である白色の球状物を押し出すか、特殊なピンセットを使って取り除きます。
稗粒腫(限局) | 稗粒腫(散在) |
汗管腫 汗管腫は、汗を発生させるエクリン汗腺が、真皮内で増加してできたの良性の皮膚腫瘍です。 前胸部、ワキなどにもありますが、一番多いのが顔面特に下まぶたです。散在して生じることもありますが、普通は左右対称に集まって多発します。 液体窒素や電気凝固による治療が行われてきましたが、満足のいく結果は得られてはいません。汗管腫を確実に除去できる方法は、切除縫合する手術ですが、傷あとがいくつも残り、これが新たな問題となります。これらの方法に代わり現在では、炭酸ガスレーザーによる治療が主流になりました。
汗管腫
脂肪腫 脂肪腫は、皮下脂肪や筋肉の間にある脂肪組織が、増殖変化して生じるものです。それほど珍しい病気ではありません。顔では額にできることがあります。腕や肩、背中~腰にできやすい良性腫瘍です。比較的小さく症状がない場合は経過をみるだけでよいことが大半です。少しずつ大きくなることが多いので、目立つようになる場合は、やはり手術が必要です。
脂肪腫
3. 眼瞼下垂症
眼瞼下垂症は保険で治療できます。
まぶたのたるみや眉間のシワなどが改善し、表情が明るく穏やかな印象になります。 また、肩こりや頭痛、眼精疲労といった症状の緩和も期待できます。
原因
原因として、生まれつきのもの、老化によるもの、コンタクトレンズの長期使用によるものなどがあります。
① 先天性(生まれつき)のもの 眼瞼挙筋の形成不全により起こります。遺伝性もあります。 片側のみに起こるものが多いですが両側もみられることもあります。
② 後天性のもの 老化、筋肉の異常、神経の異常、腱膜の異常により起こります。腱膜の異常による眼瞼下垂症はコンタクトレンズの常用や花粉症、アトピー、クレンジング、よく目をこする等といったまぶたを擦る動作によって、腱膜が瞼板(まぶたの縁を作っているもの)から外れてしまったり、薄くなってしまうことによって起こります。
眼瞼下垂の症状
- まぶたが重い
- まぶたを開けるたびに眉毛の位置が上がり、額のしわが深くなる
- 肩こりや頭痛などがする
- 物を見るときアゴを上げて見ている
- 上まぶたがくぼみ、疲れとともにひどくなる
- 二重まぶたの幅が変わってきた(一重が二重になった、二重の幅が広くなったなど)
- ねむたそうな目つきに見える
眼瞼下垂の治療
一人ひとりの違いに応じて最適な手術をお選びして治療を進めます。眼瞼下垂(がんけんかすい)の治療は、眼瞼下垂(がんけんかすい)の種類や症状の進行度などによって治療法が違ってきますが、多くの場合は手術となります。当院では綿密なカウンセリングのもと、挙筋短縮法、挙筋前転法、経結膜的眼瞼挙筋短縮術、埋没法、上眼瞼切開法など様々な手術法の中から、患者さまにとって最適な方法で手術を行います。 二重のラインに沿って皮膚を切開し(一重の場合、新たに二重のラインを作ることもできます)、眼瞼挙筋というまぶたを開く筋肉を瞼板という軟骨に固定して、まぶたが開きやすいようにします。切開したキズを縫合し、1週間前後で抜糸します。 健康保険適応の手術です。費用は3割負担として、片側で25,000~30,000円くらいです。
眼瞼下垂(がんけんかすい)を治すと「肩こり・頭痛・眼精疲労」が治る?!
「肩こり・頭痛・眼精疲労」と眼瞼下垂(がんけんかすい)に見る意外な関係最近では、慢性的な「肩こり・頭痛・眼精疲労」を治したくて眼瞼下垂の相談にいらっしゃる方が多くいらっしゃいます。こうした症状は医学的に見ても眼瞼下垂(がんけんかすい)が一因になっている可能性があると言えます。眼瞼下垂(がんけんかすい)の方の場合は、瞼(まぶた)が下がっているため、額の筋肉で目の開きを補おうとするので、額に力を入れ、眉を上げて物を見たり、細目で物を見たりする傾向があります。 その結果、眼瞼下垂(がんけんかすい)状態の方は、額のシワが深くなり、肩こりや頭痛、眼精疲労になりやすい傾向が見られます。実際に、当院で眼瞼下垂の手術を行ったご年配の方で、術後に肩こりや頭痛の症状が治ったという方も大勢いらっしゃいます。
術後の経過と注意点
- 術後は処方された薬を飲んで下さい。 点眼薬も処方しますので、1週間は1日3回点眼してください。
- 強い痛みが出ることはほとんどありませんが、念のため痛み止めが出ます。
- 手術当日は目を休めて下さい。
- 翌日からシャワーや入浴が可能です。
- メイクは翌日から可能ですが、アイメイクは1週間控えて下さい。
- コンタクトレンズは1週間ご使用になれません。
- 激しい運動は2週間は控えてください。
- 強い腫れは、1週間で軽快しますが、小さな腫れが取れるまでには約4週間要します。
- 内出血が生じることがありますが、1~2週間で自然に消退します。
4. ワキガ・多汗症
腋臭症(ワキガ)とは
ワキの下にはエクリン汗腺とアポクリン腺という分泌腺があり、その分泌物が皮膚の上にいる細菌(常在菌)によって分解され、臭いが発生します。この臭いの強い人が腋臭症(ワキガ)と呼ばれます。 治療法としては外科的治療(切除法、せん除法や極小切開によるウオータージェット法)とプチ整形(シワ取り注射)があります。
ワキガの診断基準
- 毛の生える範囲が広い
- 耳垢が湿っている
- 季節に関わらずワキの汗が多い
- 自分でも匂いが気になる
- 臭いを他人に指摘されたことがある
- 洋服のワキの部分に黄色い汗じみができる
- 家族を含む親族にこれらの症状に当てはまる人がいる
腋臭症(ワキガ)の手術 – 保険適応
切除法 直接ワキガの原因となる汗腺(汗を出す腺)を皮膚ごと切除する手術です。除去した分の汗が減りますので、効果は確実で持続します。
せん除法 わきの中央をしわに沿って5~6cm切開し、皮膚の下を剥離します。皮膚を反転して皮膚の裏側から、目で見ながら1つ1つ丁寧に汗腺をハサミで除去する方法です。手術後は、厚めのガーゼと綿を当てて、しっかりと固定をします。この方法は特に術後の安静が重要です。そのため当院では、手術は片側づつ行っています。上記のワキガ手術には健康保険が適応されます。費用は3割負担として片側2万円くらいです。
※ジェット水流で汗腺を除去するウオータージェット法は傷跡が数ミリで、痛みと出血の一番少ない手術法です。
術後しばらくしてくると、ワキの手術した範囲に赤味や茶色っぽいアザのようなものが出てきます。 これは炎症後の色素沈着というもので、皮膚はなんらかのダメージを受けるとその場所に炎症が起こり、その結果起こるのが色素沈着です。 この現象は個人差(メラニンの量)にもよりますが、時間がたてば必ず目立たなくなります。
「術後1日で普段どおりのように生活できる!という話を聞いたのですが、それは本当なのですか?」というご質問をよくいただきます。しかし、これについては同意しかねます。術後にワキを固定している期間が1日で済むような場合は、しっかりと腋臭症(ワキガ)・多汗症の原因となる汗腺を除去できていない可能性が非常に高いと言えます。従って、手術後にワキを固定している期間が1日で済むような場合は、手術後の効果も少なく、症状が改善される見込みは低いと言わざるを得ません。
5. 陥没乳頭
陥没乳頭とは
乳頭が乳輪より陥没している状態を陥没乳頭といいます。これは形態上も外見上も精神的な苦痛となり、授乳が困難であったり、乳腺炎や乳管炎を起こしたり、乳輪下膿瘍を繰り返すことがあります。陥没乳頭の治療は、陥没している乳頭を突出させ、美容的にきれいな形の乳頭にすることと、授乳機能を回復させることを目的とします。 授乳障害を伴う場合には、保険適用があります。
陥没乳頭の程度
陥没乳頭の場合、その状態によって重症度の分類があり、指で刺激したりつまんだりして乳頭が出てくる軽~中等度の場合と、指でつまんでも全く乳頭が出ない場合(重度)があります。
グレード1(軽度~) | 陥没乳頭を簡単に徒手的に整復できるが、いずれまた元に戻る。 |
---|---|
グレード2(中等度~) | 何とかピンセットなどで引き上げると整復できるが、離すと陥没する。 |
グレード3(重度~きわめて重度) | 手術によらなければ乳頭は出てこない。 |
陥没乳頭の治療法
軽度の場合は、持続陰圧装置(ニプレット)の使用でも軽快することがあります。 手術の場合、程度により手術方法が異なりますが、どの方法でも術後は授乳に差し支えなく、傷跡もほとんど目立ちません。 授乳障害がある場合は、健康保険適応の手術です。費用は3割負担として、片側約25,000円です。
手術のメリット
- 局所麻酔で手術可能です。乳頭周囲に局所麻酔を行ってから手術を行います。
- 手術時間は片方で20分~45分、両方40分~1時間30分ほどです。(手術法により異なる)
- 乳頭~乳輪部の手術の傷跡はほとんど目立ちません。
- 授乳できる可能性を高めます。
- 将来、授乳する年齢の方は保険適応となります。
手術のデメリット
- 乳頭循環不全を起こすことがあります。末梢循環不全のある方や、膠原病、自己免疫疾患、糖尿病の方は、この手術を受けて頂くことができない場合があります。
- 万が一、乳頭循環不全を生じた場合は、早急に抜糸し時間をかけて傷を治していくことがあります。
- 乳管が極端に短い方や、乳腺炎を繰り返して瘢痕(きずあと)で組織が硬くなっている方など、きわめて重度の陥没乳頭の場合、手術による治療効果が十分でないことがあります。
- 乳管が短い方の場合、術後まれに逆戻りすることがあります。
- 授乳できるの可能性を高める手術ですが、授乳を保証するものではありません。
- この手術は乳頭を引き出す手術ですので、乳頭に元々左右差のある方は、術後にも左右差を生じることがあります。
術後の注意点
- シャワーは手術翌日から、手術部を濡らさないようにして浴びることが可能です。入浴や傷口を濡らせるようになるのは、抜糸後となります。
- お酒は3日間、たばこは1週間、激しい運動は2週間控えて下さい。
- うつ伏せ寝や胸を締め付けるようなきつい下着の着用は1ヶ月間控えて下さい。
- 術後の通院は、1~2日後に最初の処置、1週間目~に抜糸にご来院頂いています。
6. 耳
折れ耳や埋没耳などの耳の変形には、メガネやマスクがかけにくかったり、ヘッドホンがつけにくかったりするなど、機能的問題があります。そのため、健康保険が適用されます。 また、耳垂裂、小耳症、副耳などにも保険が適用されますので、詳しくはお気軽にご相談ください。
※日本形成外科学会専門医が診察致します。
7. 臍ヘルニア(でべそ)
臍ヘルニアとは、いわゆる「でべそ」のことです。生まれつきの場合が多いのですが、妊娠などがきっかけで発症することもあります。 治療法は手術になります。へその中をベンツのマークのように切開し、臍窩(へそのくぼみ)をしっかりつくるように縫合し、ガーゼや綿球を詰めて固定します。手術後しばらくは、腹圧をかけないようにすることが重要です。お腹に力をいれたり、大笑いしたりすることは避けます。 抜糸は10日~2週間後くらいに行いますが、ガーゼや綿球を詰めることは1ヶ月くらい継続します。
健康保険が適応されます。費用は3割負担として、2万円くらいです。
※「臍ヘルニアを伴う出べそ=機能的な問題のある状態」の手術は保険適応がありますが、一般的な「出べそ=臍突出症」の手術はいわゆる”美容形成手術”ですので保険適応にはなりません。
8. 外傷・熱傷
切り傷、すり傷
切り傷、すり傷も最初に適切な処置を行えば、目立ちにくく治すことができます。 傷跡も『 治ればいい 』から『 より綺麗に目立たなく治す 』の時代です。
※専門医(日本形成外科学会専門医、日本創傷外科学会専門医)が診療いたします。
熱傷
やけども適切な初期治療により、熱傷範囲を最小限に抑えることができます。熱傷範囲をいかに最小限に抑えるかが、やけどの跡が目立つのか、目立たないのかの分かれ道です。 万が一やけどされた場合には、一刻も早く流水で20~30分間冷却して下さい。 それから専門医を受診して下さい。
※専門医(日本形成外科学会専門医、日本熱傷学会専門医)が診療いたします。
9. 傷痕修正
手術やケガによる傷痕は残念ながら完全に消すことはできません。しかし、形成外科の技術でできるだけ目立たなくしたり、ヒキツレやかゆみ等の症状を改善することができます。
形成外科の保険診療全般の施術後経過および注意事項
術後の傷痕は3~6ヶ月かかって落ち着きます(日にち薬)。最初の1~3ヶ月はスポンジ、テープ、シリコンシートなどによる固定を必要とする場合があります。 大きな治療を行う場合は、大学病院などをご紹介する場合もあります。また、保険適用疾患でも治療法によって保険が適用されない場合がありますので事前にご相談ください。
※専門医(日本形成外科学会専門医、日本熱傷学会専門医)が診療いたします。
10. 陥入爪・巻き爪
足の指(特に親指)の爪の両端が、内側に陥入したものが陥入爪、丸まるようにして皮膚に食い込んだ状態が巻き爪です。
陥入爪 | 巻き爪 |
陥入爪・巻き爪による弊害
- 不適切な爪切りや、足に合わない靴を履き続けることが原因で、不快な痛みを伴います。 これらを続ける事でどんどん悪化し、不良肉芽を形成したり、化膿する場合もあります。
- 寝ている時、爪先に布団が当たるだけでも強い痛みがある為、熟睡できない方もいらっしゃいます。
不良肉芽形成
陥入爪・巻き爪による弊害
早く確実に痛みから解放されるために、最も効果的な治療法は手術となります。 局所麻酔を施し、皮膚に食い込んだ爪(幅1~2㎜前後)を取り除き、爪の生え際にフェノールという薬を塗ります。手術直後より巻き爪の痛みは解消されます。 所要時間は30分程度で、出血もほとんどないため、安心して治療を受けて頂けます。
※手術をされたくない場合や、手術しても繰り返す場合はVHOワイヤー矯正による治療があります。
11.水虫(白癬・爪白癬)
水虫(白癬・爪白癬)の治療
水虫、爪の水虫の治療は健康保険の適用です。 水虫治療は塗り薬が基本です。以前爪の水虫の治療は飲み薬が必要でしたが、「クレナフィン爪外用液」という新しい爪の水虫の塗り薬が登場しました。肝機能が悪い方等、今まで内服薬が使えなかった方もOKです。 水虫は家庭内での相互感染予防も重要です。完全に治るまで治療は続けるようにしましょう。
足白癬 | 足白癬 |
爪白癬 | 爪白癬 |
※水虫治療のコツは、治ったと思ってももうしばらく治療を続けることです。
12. にきび(尋常性ざ瘡)
にきび(尋常性ざ瘡)とは?
思春期に発症し、12~18歳に悪化しやすいことから“青春のシンボル”などといわれて病気扱いされないことがありますが、ホルモンの影響を受けて毛嚢(もうのう)・脂腺(しせん)系の慢性炎症を生じる皮膚病で、治療が必要です。
原因は?
思春期における性ホルモンの変動、とくに男性ホルモンであるアンドロゲンの作用(女性でも副腎で産生される)により皮脂腺の分泌が多くなります。皮脂は毛嚢をへて外へ排泄されますが、遊離脂肪酸の刺激により毛嚢の出口に角質増殖が起こると、毛穴がふさがって皮脂がたまり、面皰(めんぽう)と呼ばれる初発疹ができます。毛嚢の出口にすみついているアクネ菌のリパーゼなどの作用により炎症が起こります。
悪化因子としては女性では月経前、ファンデーションなどの毛穴を詰める化粧品、男女とも睡眠不足、精神的ストレス、間食、気になって皮疹(ひしん)に触ること、毛髪で皮膚がこすれる髪型などがあげられます。
症状
日本におけるにきびの平均発症年齢は13.3歳で、男女差はありません。軽い症状も含めると、成人の90%以上がこの病気を経験しています。初発部位は前額が最も多く、年齢とともに頬、下顎に多くなってきます。
発疹は白色面皰または黒色面皰に始まり、赤い丘疹(きゅうしん)、膿疱(のうほう)、痂皮(かひ)、嚢腫(のうしゅ)、瘢痕(はんこん)、色素沈着など新旧のさまざまな発疹が同じ場所に混在してみられるのが特徴です。通常、かゆみなどの症状はありません。強いかゆみを伴う場合は、毛嚢虫によるざ瘡が疑われます。
治療
皮脂を洗い流して毛穴が詰まるのを防ぐために、十分な洗顔が重要です。次に、できた面皰は圧出器などを用いて内容を押し出すことで炎症の悪化を防ぎます。
2008年から日本でもビタミンA誘導体であるアダパレン(ディフェリンゲル)が使用できるようになりました。アダパレンは毛穴の角化を抑えて毛穴を開かせるので、ざ瘡の初発疹である面皰を減らし、赤い丘疹など炎症を起こした発疹にも有効で、ざ瘡治療の中心になる外用薬です。12歳以上で使えますが、妊婦さんや妊娠している可能性がある方は使用できません。
ざ瘡桿菌を抑える抗菌外用薬としては、ナジフロキサシン(アクアチムクリームあるいはローション)やリン酸クリンダマイシン(ダラシンTゲル)があります。これらのスキンケアや外用治療だけでは十分な効果が得られない場合は、ミノサイクリン(ミノマイシン)などのテトラサイクリン系やロキシスロマイシン(ルリッド)などのマクロライド系抗菌薬の内服が行われます。最近ではアダパレンと抗菌薬の内服または外用を組み合わせた治療法が一般的です。
最新の抗菌外用剤としては過酸化ベンゾイル(BPO)「べピオゲル」が2015年4月に新発売となりました。アクネ菌は酸素があると死滅してしまう「嫌気性菌」です。そこで、酸素と同じように働く物質を肌に塗れば、アクネ菌を殺菌することができます。このような働きをする化学物質を酸化剤といい、その一つが過酸化ベンゾイル(BPO)です。過酸化ベンゾイル(BPO)を投与すれば、酸化作用によってアクネ菌が死んでいきます。これにより、ニキビの症状が軽減されるということです。
平成27年7月17日に発売された「デュアック®配合ゲル」は、皮膚や毛包漏斗部でのアクネ菌の増殖抑制が期待できるリンコマイシン系抗菌薬のクリンダマイシン1%(ダラシンTゲルの主成分)と、殺菌作用と角質剥離作用を有する酸化剤で、海外ではニキビの標準治療薬として50年以上使用されている過酸化ベンゾイル(BPO)3%を配合した外用剤です。 抗菌剤によってにきび菌を退治しつつ、BPOによる抗菌作用まで併せ持つ「デュアック配合ゲル」はこれ単独で非常に有効な場合もあるでしょう。
ディフェリンゲル | デュアック配合ゲル | べピオゲル |
ダラシンTゲル | アクアチムクリーム | アクアチムローション |
13. 毛孔性苔癬の治療
毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)(keratosis pilaris)、または毛孔性角化症(もうこうせいかくかしょう)とは、身体の毛孔内に角質が充満し表皮にまで盛り上がり丘疹を成す角化症、角質異常で、皮膚病のひとつ。小児期、思春期によく見られ、家族性の例が多くみられるため、常染色体優性の遺伝性皮膚疾患とされる。
症状・好発年齢・好発部位
- 毛孔一致性(つまり毛穴ごと)に角化性丘疹が見られる。
- 毛穴の角質が厚くなって盛り上がり、中でうぶ毛が絡まっている。古い角質と毛の山。
- 摩擦などの刺激で、黒ずんでいる場合もある。
- 従来、思春期特有のものと思われていたが、最近30代・40代の女性が増えている。
- 上腕(二の腕)、太もも、ヒップの順に多く、左右対称性にみられる場合が多い。
- 尋常性魚鱗癬、アトピー性皮膚炎、肥満などと同時に発症する例が多い。
治療法
- 医療レーザー脱毛:自費
- ケミカルピーリング(サリチル酸マクロゴールピーリング):自費
- 高周波温熱療法:自費
- トレチノイン外用(ビタミンAクリーム):自費
- 保湿(尿素軟膏:ウレパールなど):保険診療
14. 手荒れ・湿疹
手荒れ・湿疹とは?
手が荒れる原因には、外的刺激による皮脂減少、皮膚バリア機能の低下による様々な湿疹変化(かぶれ)があります。主婦湿疹といわれ、主婦や飲食店員、美容師、会社の事務職員、作業員の方など手を使う人に出来やすい傾向にあります。「小水疱、びらん、カサカサ(落屑)、皮膚が硬くなる(角化)、ひび割れ」が出てきたら、手荒れ・湿疹の初期症状です。そのうち、皮膚が薄くなって、指紋なくなるなどの症状も出てくることもあります。 保湿クリームをこまめに塗るだけでも改善が見込まれますが、症状により皮膚炎の軟膏などを併用します。
日常生活での注意点
手荒れ・湿疹を予防・改善するには、患部を潤わせておくことが重要です。皮脂を落としすぎないように、お湯を必要以上に出さない、必要時以外のプライベートなどで、手袋をつけて水回りの作業をする、保湿クリームをこまめに塗るだけでも改善が見られます。
15. 魚の目・タコ
魚の目・タコとは?
足の裏や指の間にできるのが魚の目・タコです。地面に足をつけるえたびに痛みが走ることもあります。サイズの合わない靴を履いていたり、ハイヒールを毎日履いていたりしませんか。足に継続的で必要以上の刺激を与えてしまうと、魚の目やタコができてしまう原因になります。 治療はサリチル酸含有のテープ(スピール膏)を貼付して魚の目・タコが浸軟したら削除する方法が一般的です。レーザーで焼灼する方法や「アメージングタッチ」という新しい塗り薬による治療もあります。
日常生活での注意点
日常生活での注意点としては、まず、サイズの合う靴を履くことを心がける、女性ならヒールのない靴を履く日を設けることです。これだけで魚の目・タコが治る場合もあります。また、歩き方を治すことも効果があります。魚の目・タコができる方には、歩くときの前後左右のバランスがうまく取れていない人も多いです。身体のバランスを取ることも考えてみると良いです。
16. あせも(汗疹)
あせもとは?
あせもは、一般的に暑くなる夏にできる皮膚疾患と思われがちですが、寒い冬でも生じる可能性があります。あせもの原因には、たくさん汗をかくことのほかに、高温多湿の蒸れ、皮脂量が多すぎたり少なすぎることなどがあります。たとえ寒かったとしても、厚着をして通気できない格好をしているとあせもができることもあります。治療ではベビーパウダーの使用が効果的です。症状がひどい場合には塗り薬を塗布します。
日常生活での注意点
あせもができる原因をまとめると、「高温多湿である」と「不潔である」になります。 普段から、シャワーを浴びる(汗のかきづらいぬるま湯がオススメ)、タオルを使ってこまめに汗を拭く、身体を空気に触れさせるために着替えることなどをして、肌の湿気を上げすぎることなく、清潔でいることを心がけるようにしてみてください。
17. じんましん
じんましんとは?
突然皮膚がやや盛り上がり、強い痒みを伴う皮膚のアレルギーが原因の病気です。皮膚の盛り上がりは虫刺されの症状に似ていたり,地図のような形をしていたり様々です。じんましんが出てきたときはかゆくて仕方がありませんが、やがて跡形なく消えるのがじんましんの特徴です。おおよそ数分から数時間で消えますが、半日から一日程度続くこともあります。症状や程度により、注射(強力ネオミノファーゲンC)や内服や外用剤による治療を行います。
日常生活での注意点
じんましんにはアレルギー性のものと、非アレルギー性のものがありますが、前者が原因であることがほとんどです。 普段から、食べ物や薬をはじめとしたアレルギーに注意を払っておくとよいでしょう。アレルギー検査を受けておくのもよいかもしれません。 非アレルギー性のじんましんは、その他圧迫や摩擦、寒暖によって起きるものです。かゆみがないこともあります。
18. 口唇ヘルペス
口唇ヘルペスとは?
口唇ヘルペスとは、くちびるの周りに赤みがかった水ぶくれができて、かゆみや痛みが出たりする症状のことです。風邪で熱が出たり、疲れやストレスが溜まって身体が弱ったりすると、口唇ヘルペスはできやすくなります。ヘルペスウイルスが身体に入ることで症状がでるようになります。一旦、ウイルスが入ってしまうと、疲れがたまったりして身体の免疫が弱まった時に症状が出るようになります。内服薬(抗ウイルス薬)と外用薬(抗ウイルス薬)が効果的です。
日常生活での注意点
口唇ヘルペスは、疲れや風邪などで免疫が低下することで起きます。疲労やストレスを溜めないことがベストですが、繰り返し再発 することが多いです。口唇ヘルペスは疲れのサインでもありますので、ゆっくり休養をとることが重要です。
19. 帯状疱疹
帯状疱疹とは?
帯状疱疹とは、皮膚にチクチクするような痛みから始まり、それが帯状(おびじょう)に広がっていく皮膚の疾患のことです。水ぼうそうを起こす原因のウイルスと同じもので起こる病気です。過去に水ぼうそうにかかった人は、水ぼうそうウイルスが身体の中にいる状態(潜在)になります。そのウイルスが、その人の免疫が弱まった時に再び活動を始め、皮膚の症状として現れたのが帯状疱疹です。抗ウイルス薬の点滴が効果的です。
日常生活での注意点
帯状疱疹は、神経痛も起こします。皮膚的な症状が改善したとしても、チクチクした皮膚の痛みが続くこともあります(帯状疱疹後神経痛)。治療時期が早ければ早いほど、神経痛が残る可能性を低くできます。「皮膚に痛みがあるな・・・」と感じた人は、早めの受診をお勧めします。
20. 掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症とは
掌蹠膿疱症とは、膿疱(膿がたまった皮疹)が手の平や足の裏に多数できる皮膚病で30~50代の方に多いです。長期間症状を繰り返し、慢性的に症状が現れます。膿疱は無菌性のため他人への感染の心配はありませんが、悪化すると痛みを伴い、手指を使うことが困難になったり、日常生活に支障をきたすことがあります。
症状
初期は小さな水疱で、だんだんと黄色の膿疱に変わっていきます。出はじめはかゆみを伴い、その後はかさぶたとなって落ちていきます。爪に生じることもあり、爪が黄色に変色し変形する場合もあります。
原因
多くの場合は原因が不明です。慢性化膿性病巣が原因になっている場合があります。慢性化膿性病巣とは慢性扁桃腺炎、歯槽膿漏、蓄膿症、中耳炎など細菌による感染が慢性的に存在する部位のことです。金属アレルギー(歯科金属など)が原因になる場合もあります。発症した方の多くが喫煙者であるため、喫煙が原因とも言われています。ニコチンが症状を悪化させる要因であるとされています。また、高カロリーの食事やアルコールの影響も大きいと考えられています。
合併症
主に骨関節炎が10~30%と高い確率で合併します。鎖骨や胸の中央の胸鎖肋関節などの関節に強い痛みが生じます。放置していると関節が変形することもあります。合併症を防ぐためには適切な治療を進めていくことが大切です。
治療法
まずは対症療法で炎症を抑えることから行います。症状の程度によってステロイド軟膏やビタミンD3軟膏で炎症を抑制します。外用薬のみでは効果が見られない場合には内服薬や注射で治療を進めていきます。一番効果的な治療はビオチン療法(ビタミンH)です。 過食や喫煙を控えたり、金属アレルギーのある人は金属の除去を行ったりするなどの対策も必要です。